ドイツ鉄道(DB)が誇る高速鉄道「ICE」の大半は整備不良のまま走行していることが、公共放送ARDの報道で分かった。DBは定時運行率も低く、業務改善の余地は大きい。
ドアやトイレ、コーヒーメーカーなど車両のどこかに問題があるICEは全体の8割を占める。トイレが1カ所、使えなくても走行は可能なものの、そうした問題を数多く抱えていることは見逃せない。
背景には人手不足でメンテナンスを十分に行えないという事情がある。重大な事故につながる不具合をメンテナンスで見落としている可能性は排除できない。
10月にはケルン発ミュンヘン行きのICEが走行中に炎上する事故が起きた。放火など外部からの働きかけはなかったことから、技術的なトラブルが原因とみられる。
経営陣はICEの整備不良問題を深刻にとらえており、メンテナンス体制を早急に強化する意向だ。
DBは今年、長距離列車の定時運行率82%を目標に掲げていた。だが、これを実現できた月はなく、10月は同71.8%にとどまった。経営陣はすでに同目標を撤回している。