フォルクスワーゲン(VW)の高級車子会社アウディ(インゴルシュタット)は23日の株主総会で、2025年までに電動車のモデル数を30以上に拡大する方針を明らかにした。販売車両に占める電動車の割合を同年までに40%へと引き上げる目標。同社は製品の「カーボンフットプリント」を改善する意向も表明するなど、環境重視の姿勢を強く打ち出した。
アウディは電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)をともに投入する計画。親会社VWのヘルベルト・ディース社長は、乗用車の二酸化炭素(CO2)排出量を30年までに21年の目標と比べて37.5%削減するという欧州連合(EU)の新規制に対応するためにはEVの重点強化が必要不可欠としているが、大型モデルを多く手がけるアウディはPHVモデルもある程度、取り揃え、顧客をつなぎとめる意向だ。
25年までに投入するEVは20モデルを予定している。このうち少なくとも3モデルはVWグループのEV専用車台「MEB」を採用する。グループ企業ポルシェと共同開発する高級EV専用アーキテクチャー「PPE」の採用モデルは21年に第一弾を発売する予定だ。
カーボンフットプリントは原材料調達から製造、廃棄・リサイクルに至る製品のライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの量をCO2に換算したもの。アウディは25年までにこれを15年比で30%削減する目標を今回、打ち出した。CO2の排出量を差し引きでゼロにする「カーボンニュートラル」を全世界のアウディ工場で25年までに実現するとしている。50年までには同社の全事業活動でカーボンニュートラルを達成する考えだ。
今回の株主総会では工場や設備などの有形固定資産と研究開発に23年末までに総額400億ユーロを投資することも明らかにした。そのうち約140億ユーロを車両の電動・デジタル化と高度な自動運転の分野に充てる。これに伴いコストを削減する必要があることから、スポーツ車「TT」と「R8」の生産を現行モデルの終了をもって打ち切る。