EUと英が今後の関係めぐる交渉開始、初回会合で「深刻な意見の相違」

欧州連合(EU)と1月末にEUを離脱した英国は5日、将来の関係の構築に向けた交渉の1回目の会合を終了した。EUのバルニエ首席交渉官は会合後に記者会見で、多くの分野で「深刻な意見の相違があった」と述べ、交渉の難航が必至との見方を示した。

英国は離脱後も20年末までは移行期間が設定されるため、EUとの基本的な関係は変わらない。同期間中に自由貿易協定(FTA)をはじめとする将来の関係をめぐる交渉をまとめることになっている。ブリュッセルで2日から4日間にわたって開かれた初回会合では、主に交渉の進め方や、双方の基本的な立場について意見が交換された。

FTAに関しては、双方とも関税ゼロでの貿易の継続を目指すことで一致している。しかし、EU側が公平な競争環境の確保が不可欠として、関税ゼロの維持には英国がEUの競争法や公的補助、環境、労働者の権利などに関するルールに従うことを求めているのに対して、英国側は主権を重視し、抵抗している。これらに関してEUのルールと同等の規制を国内で適用すれば、EUのルールに縛られる必要はないという主張だ。

バルニエ首席交渉官によると、EU側は今回の会合で、英国がEUの規制に合わせるという保証を協定に盛り込むよう求めたが、英国側は応じなかった。

このほか同交渉官は、漁業権、司法協力、交渉の進め方で大きな隔たりがあったことを明らかにした。漁業については、EUの共通漁業政策から離脱する英国が、自国水域でのEU漁船の操業権を制限することを警戒するEU側が、FTAと連動して交渉し、現状維持を確保することを求めているが、英国側は一連の交渉と切り離し、毎年の交渉によって双方の漁船の操業権について取り決めることを要求。立場の違いが鮮明となった。

また、交渉の進め方に関しては、英国側が分野ごとで合意する方式を主張しているのに対して、EU側は全分野を含む包括的な合意を求めている。

EUと英国が合意した離脱条件に関する協定では、英国側が6月までに要請すれば移行期間を延長し、交渉の期限を延ばすことができるが、英ジョンソン首相は延長を拒否しており、交渉の期間は限られている。20年12月末までに交渉が妥結しなければ、合意がないまま新たな関係に突入し、大きな混乱を招くことになる。

EUと英国は2~3週間おきに交渉会合を開くことになっている。次回の会合は3月18~20日にロンドンで開かれる予定だ。

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