FCAとPSAが統合の条件修正、コロナ禍で資金流出抑制

欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と仏グループPSAは14日、経営統合の条件を修正すると発表した。新型コロナウイルス感染拡大で業績が悪化している中、財務の健全性を保つのが目的で、FCA株主への特別配当を大幅に減額する。

両社は2019年12月、経営統合で正式合意していた。その条件として、対等合併とするために新会社がFCA株主に55億ユーロの特別配当を実施することになっていた。しかし、資金流出を抑えるため、配当を29億ユーロに減額する。

これによって対等合併の構図が崩れるのを防ぐため、PSA側は保有する仏自動車部品大手フォルシアの株式46%(26億ユーロ相当)をPSAの株主だけに分配する計画を見直し、PSAとFCAの株主に均等に分配する。

このほか、統合によるコスト節減を当初予定していた年37億ユーロから50億ユーロ以上に引き上げることも決めた。21年1~3月期の統合手続き完了を目指すという目標は維持する。

統合で誕生する新会社「ステランティス」は、独フォルクスワーゲン、日産・仏ルノー・三菱自連合、トヨタに次ぐ世界4位の自動車グループとなる。すでに米国、日本、中国などが統合を承認済みだ。ただ、EUの欧州委員会が欧州の小型商用車市場での寡占を懸念し、統合の可否に関する競争法上の審査を慎重に進めており、10月22日までに結論を出すことになっている。

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