新型コロナウイルス用ワクチンを開発中の独ビオンテックは17日、同国中西部のマールブルクにある工場をスイス製薬大手のノバルティスから取得することで合意したと発表した。同ワクチンの量産を見据え、生産能力を増強するのが目的。2020年10~12月期の取引完了、21年1~6月期の生産開始を見込む。取引金額は明らかにしていない。
同社はメッセンジャーRNA(mRNA)を利用した新型コロナのワクチンを製薬大手の米ファイザー、中国の復星医薬と共同開発している。すでに治験の最終段階に当たる第3相臨床試験を行っており、10月にも認可申請を提出する見通しだ。認可を得た場合、同開発連合はワクチンを年内に1億回分、来年末までに13億回分を生産する。
ビオンテックは現在、新型コロナワクチンを独国内の2カ所で治験用に生産している。マールブルク工場を取得することで、生産能力を最大で年7億5,000万回分に拡大する。同工場は欧州最大級のmRNA生産施設になるという。
ファイザーはビオンテックとは別に、新型コロナワクチンを欧米の4工場で生産する。
マールブルクはビオンテックの本社所在地マインツとフランクフルト国際空港に近いことから、白羽の矢が立てられた。ノバルティスからは工場のほか、従業員300人を引き継ぐ。