EU加盟国が移動制限の共通基準で合意、感染リスクを地域ごとに色分け表示

欧州連合(EU)は13日に開いた閣僚理事会で、新型コロナウイルス感染拡大抑制のため加盟国がEU域内での移動制限を実施する際の共通の基準を定めた勧告を採択した。欧州の多くの国で新型コロナの感染者が急増し、各国が相次いで規制を強化する中、国によって異なる移動制限の基準を域内で統一し、EUの基本原則である域内における人の自由移動に関して透明性と予測可能性を確保する。

勧告は欧州委員会が9月初めに提案した内容を一部修正したもの。加盟国は感染抑制のために導入する制限措置は適切かつ非差別的でなければならず、状況に改善がみられた場合は速やかに解除するなどの大枠で合意した。ただし、勧告に法的拘束力はないため、最終的な判断は各国当局に委ねられることになる。

勧告によると、加盟国が移動制限を導入する際の基準として、当該国・地域における(1)過去14日間の人口10万人当たりの新規感染者数(2)過去7日間に実施された検査での陽性率(3)過去7日間に実施された人口10万人当たりの検査件数の3項目が共通の指標として用いられる。欧州疾病予防管理センター(ECDC)は各国から提出されるデータをもとに、EU27カ国と英国、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーの感染状況を地域ごとに緑、オレンジ、赤、グレーに色分けし、感染マップを毎週更新する。

「緑」は14日間の新感染者数が25人未満、かつ陽性率が4%未満、「オレンジ」は新感染者数が50人未満で陽性率が4%以上、または新感染者数が25人以上150人未満で陽性率が4%未満と定義。「赤」は新感染者数が50人以上、かつ陽性率が4%以上、または新感染者数が150人以上と定義した。3つの指標に基づく情報が不十分か、人口10万人当たりの検査件数が過去1週間に300件に満たなかった場合は「グレー」に分類される。

欧州委は「緑」と「オレンジ」に色分けされた地域からの入国者に対しては、原則として制限措置を課すべきではないとする一方、「赤」または「グレー」地域からの入国者に対しては、14日間の自主隔離または入国後の検査を義務づけることができるとし、検査が望ましいとの見解を示していた。

これに対し、採択された勧告では、「緑」の地域については自由移動を制限してはならず、それ以外の地域からの入国者に対して制限措置を講じる際は「オレンジ」と「赤」の地域の感染状況を考慮する必要があると指摘。赤やグレーの地域も含め、原則として域内の他の国からの入国を拒否すべきではないとしたうえで、緑以外の地域からの入国者に対しては隔離や検査に加え、隔離期間中の滞在先や連絡先を申告する旅客位置情報フォーム(Passenger Locator Form)の提出を求めることができるとしている。このほか制限措置を導入する場合は他の加盟国と欧州委に事前に知らせなければならず、可能であれば48時間前までに通告するよう求めている。

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