21年GDP2.7%上昇、コロナ禍前の19年比では-2%に

ドイツ連邦統計局が14日発表した2021年の国内総生産(GDP、速報値)は物価調整後の実質で前年比2.7%増となり、2年ぶりに拡大した。内需と外需がともに伸びた。ただ、新型コロナウイルス感染拡大の局面が数度あり、その都度、制限措置が強化されたことと、原材料・部品不足に伴う製造業の生産調整が響きV字回復には至らなかった。コロナ禍直前の19年に比べるとGDPは2.0%低い水準だ。

GDPを項目別でみると、政府最終消費支出は3.4%増と前年に引き続き大きく増えた。コロナ抗原検査の無料提供やワクチン調達、コロナ検査・接種センターの運営で支出が膨らんだ。設備投資は11.2%減となった前年の反動で3.2%増加。建設投資は0.5%増えたものの、労働力・建材不足で伸び悩んだ。民間最終消費支出(個人消費)はコロナ規制が響いて横ばいにとどまった。内需全体では1.9%増えた。

輸出は9.4%伸びた。輸入が8.6%増だったことから、GDP成長率2.7%に対する外需(輸出-輸入)の寄与度は0.9ポイントに上った。外需は19年をわずかに下回る水準まで回復したという。

粗付加価値は2.9%増加した。前年に好調だった建設は0.4%減と縮小に転じたものの、その他の部門はすべて改善。増加幅は製造で4.4%、流通・運輸・宿泊・飲食で3.0%、情報・通信で3.3%、企業向けサービスで5.4%に上った。

粗付加価値を19年比でみると、製造は6.0%低い水準だった。建設と情報・通信の2部門は19年を大幅に上回っている。

地方と社会保険機関を含めたドイツ全体の財政収支は1,538億6,000万ユーロの赤字となり、2年連続で巨額赤字を計上した。コロナ禍対策費が膨らんでおり、市町村を除いてすべて赤字となった。財政収支の対名目GDP比率は前年と同じマイナス4.3%に上った。

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