北マケドニアのEU加盟めぐるブルガリアとの対立、新政権が解決模索へ

EUに加盟するブルガリアと加盟を目指す北マケドニア(旧マケドニア)の関係悪化が、両国で新政権が発足したことで改善する見通しだ。両国は18日の首脳会談で、ブルガリアが北マケドニアのEU加盟交渉開始に反対している問題について、解決を図ることで合意した。歴史認識をめぐる溝を埋め、ブルガリアが交渉開始を支持できる環境を整えることを目指す。

EUは2020年3月の首脳会議で、加盟候補国となっている北マケドニアとの加盟交渉開始を正式承認した。しかし、交渉の枠組みを決める段階でブルガリアが拒否権を発動し、交渉開始は先送り状態となっている。

ブルガリアと北マケドニアは地理・文化的に密接な関係にある一方で、歴史認識の問題を抱えている。とくに大きな焦点となっているのが、マケドニアの言語名をめぐる問題。ブルガリアはマケドニア語をブルガリア語の方言と主張し、「マケドニア語」の存在を否定している。

ブルガリアでは12月、北マケドニアでは17日に首相が交代したばかり。ブルガリアはEU主要国から拒否を取り下げるよう圧力を受けていることから、新政権発足を機に同問題を解決したい考えで、ペトコフ新首相が北マケドニアのコバチェフスキ新首相と同国の首都スコピエで首脳会談を行った。

同会談では両国が歴史認識を含む多様な問題について話し合う作業部会を設立し、毎週協議を行うことで合意した。ペトコフ首相は「すぐに成果が出るだろう」と述べ、早期解決への期待感を示した。

北マケドニアは旧マケドニア時代の2005年に加盟候補国として認定された。次のステップとなる加盟交渉開始をEUが承認するまで15年もかかったのは、1991年に旧ユーゴ連邦から独立した際に正式名称を「マケドニア共和国」としたことをめぐり、ギリシャが古代ギリシャの英雄アレキサンダー大王の出身地である同地の名前を全面に出した国名に反発したためだ。両国政府が2018年、マケドニアを「北マケドニア共和国」とする妥協案で合意し、ようやく前進したが、ブルガリアの反対が新たな障害となっている。

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