ドイツで天然ガス発電を100%停止することはできないもようだ。ロシア産ガスの供給が大幅に削減されたことを受け同国では国内供給を維持するため発電での使用を全面停止するよう求める声が出ているが、経済・気候省は1日付の文書で不可能との見解を示した。
ドイツの総発電量に占める天然ガスの割合は現在14.5%に上る。政府は石炭発電の利用を一時的に増やすことでガス発電を可能な限り減らすことをすでに決定している。
これに対し、削減だけでは不十分だとして、全面停止を求める声が出ている。リントナー財務相がこの見解を支持したことから、経済・気候省は反論の文書を作成。ピーク時の電力需要をカバーするためには、他の電源に比べ起動時間が短い天然ガスが必要不可欠だと反論した。また、ガス発電の廃熱は地域熱として暖房に使用されていることから、全面停止すると暖房を利用できない市民が大量に発生するとの問題も指摘した。
リントナー氏が党首を務める自由民主党(FDP)と、ロベルト・ハーベック経済・気候相が所属する緑の党はガス供給不足対策で意見が対立している。FDPはガス発電削減の穴埋め政策に原子力発電の稼働期間延長も含めるよう要求。反原発を党是とする緑の党はこれまでのところ受け入れを拒否している。