天然ガス輸入3位VNGが公的支援申請、最大手ユニパーに次ぎ2社目

独エネルギー大手EnBWの子会社で天然ガス輸入3位のVNGは9日、連邦経済・気候省(BMWK)に公的支援を申請すると発表した。公的支援を申請するガス輸入会社は最大手ユニパーに次いで2社目。両社ともロシア産ガスの供給削減・停止を受け割高な代替調達を余儀なくされていることから、資金繰りが悪化している。

ロシアは6月以降、欧州向けの天然ガス供給を大幅に削減している。これを受け、同国産への依存度が高いドイツの輸入会社はスポット市場などでの調達へと変更した。調達コストの増加分は一定期間、川下に転嫁できないことから、ロシア産への依存度が特に高い輸入会社で財務が急速に悪化している。

ユニパーは7月上旬、公的支援を申請し、同月末に総額150億ユーロの支援を取り付けた。そのうち90億ユーロを占める融資枠はすでに使い切っており、同社は40億ユーロの上乗せを8月末に申請した。

VNGは年ベースで計100テラワット時(TWh)のロシア産の輸入契約が履行されないことから、大幅に割高な代替調達を余儀なくされ、資金繰りが厳しくなった。

政府は輸入会社の資金繰り改善に向け8月にエネルギー安定確保法(EnSiG)を改正・施行。調達先をロシア以外に切り替えたことで発生したコストの90%を輸入会社が10月1日から川下に迅速転嫁できるようにした。消費者や企業などの需要家はガス料金に上乗せされる分担金(1キロワット時=kWh当たり2.419セント)を通し、使用量に応じてコストを負担することなる。

VNGは同分担金収入からの資金受給をすでに申請したが、それだけでは足りないことから、公的支援を申請する。親会社EnBWはすでに、融資保証と融資枠を通して支援を行ってきた。

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