EU統計局ユーロスタットが9月30日に発表したユーロ圏の同月のインフレ率(速報値)は前年同月比10.0%だった。前月の9.1%を大きく上回り、統計を開始した1997年以降の最高記録を5カ月連続で更新した。欧州中央銀行(ECB)による追加利上げが確実な情勢だ。(表参照)
物価急上昇の最大の要因はロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギーの値上がり。エネルギーは40.8%上昇し、上げ幅は前月の38.6%から拡大した。その他の分野も未加工食品が12.7%、工業製品が5.6%、サービスが4.3%と値上がりが進んでいる。
欧州中央銀行(ECB)が金融政策で重視する基礎インフレ率(価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いたインフレ率)は4.8%で、前月から0.5ポイント拡大した。
ユーロ圏19カ国のうちインフレ率が2ケタに達したのは半数近い9カ国。主要国はドイツが10.9%、フランスが6.2%、イタリアが9.5%、スペインが9.3%。フランスは光熱費助成制度が導入された効果で前月から0.4ポイント縮小し、ユーロ圏で最低水準となった。
ECBは物価高に対応するため、7月に11年ぶりの利上げを実施。9月にも追加利上げを行い、政策金利は計1.25ポイント引き上げられ、主要政策金利は1.25%、中銀預金金利は0.75%となっている。
ウクライナ情勢の先行きが不透明で、当面は物価上昇圧力が一層強まるのが避けられないことから、市場ではECBが10月27日に開く定例政策理事会で、0.75ポイントの追加利上げに踏み切るとの見方が広がっている。