バーゼル3の適用期限を2年延期へ、財務相理で合意

EU加盟国は8日の財務相理事会で、国際規模で事業を展開する銀行を対象とする新たな自己資本規制「バーゼル3」の最終化について、EUでの適用期限を2025年1月とすることで合意した。国際合意では23年1月から段階的に実施することになっているが、コロナ禍の影響などを踏まえて2年先送りする。加盟国は最終合意に向け、23年の早い時期に欧州議会との交渉に入る。

バーゼル3は自己資本比率の算出にあたりリスク資産の見積もりを厳しくすることで、自己資本の算定を厳格化することを柱とする内容。これによってEUの大手銀行の多くは自己資本比率が下がり、資本増強が必要になると目されている。

主要国の金融監督当局で構成されるバーゼル銀行監督委員会は当初、最終化を22年1月から実施することで合意していたが、中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループは20年3月、新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえ、1年延期することで合意。これに対し、欧州委員会は21年10月、コロナ禍で深刻な打撃を受けたEU域内の銀行が回復し、新規制に対応できるようになるまで時間がかかるなどとして、域内での適用期限をさらに2年延期することを提案していた。

EU議長国チェコのスタニュラ財務相は「われわれは域内の銀行の強靭性と弾力性を高める取り組みを進めている。バーゼル3の最終化にあたり、EUの銀行部門を取り巻く特殊性や加盟国の置かれている状況を考慮することが重要で、域内の銀行が資金供給の能力を低下させる事態を避けることが今回の合意の主な狙いだ」と説明している。

また、ドイツとフランスの財務相は「適切なバランス」の取れた現実的なスケジュールと延期を歓迎。リントナー独財務相は「域内の銀行が新規則に適応するのに十分な時間が与えられる」と指摘した。

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