フィンランドのタイヤ大手ノキアンタイヤは1日、ルーマニアに乗用車タイヤ工場を新設すると発表した。ロシアからの撤退を受け、欧州で新たな生産能力を整備する。来年初めに着工し、2025年から量産体制に入る。雇用規模は500人、投資規模は約6億5,000万ユーロを見込む。
新工場の立地は、ルーマニア北西部、ハンガリー国境に近いオラデアだ。年産能力は600万本で、将来的な拡大を視野に入れる。倉庫・物流センターも併設する。リム径の大きい乗用車・SUV向けタイヤを生産し、主に中欧市場に出荷する。
立地決定についてノキアンタイヤは、◇技能のある人材の存在◇物流面からみた地の利◇安定した事業環境――などを考慮し、40カ所を超える候補地のなかからオラデアを選んだと説明した。
ノキアンタイヤは昨年の乗用車タイヤ生産の約8割をロシア工場で生産するなど、ロシア依存度が高かった。それだけに撤退の打撃は大きい。今回のルーマニアのプロジェクトは、失われた生産能力を補う戦略を担うものだ。このほか、フィンランドと米国の既存工場強化が計画されている。