英政府、30年ぶりに炭鉱開発承認

英政府は7日、イングランド北西部のウッドハウス炭鉱での石炭採掘事業を承認したと発表した。炭鉱開発が認められるのは30年ぶり。発電用の石炭ではなく、製鉄用コークスを賄うのが目的と説明しているが、脱炭素化に逆行する決定として非難を浴びている。

ウエスト・カンブリア・マイニング社が開発する同炭鉱は23ヘクタール規模。採掘が本格化すれば、年300万トンの冶金用石炭を供給する。国内の石炭需要の約18%を賄う。

同炭鉱の開発計画は2014年に発表され、地元自治体が19年に承認した。しかし、当時のジョンソン政権が脱炭素化の観点から難色を示し、棚上げとなっていた。

政府は開発認可について、製鉄用コークスは必要なもので、同炭鉱を開発しない場合は輸入しなければならないとして、妥当性を強調している。

ただ、政府は温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「ネットゼロ」を2050年までに実現するという目標を掲げていることから、野党や環境保護団体が反発している。政府の政府諮問機関である気候変動委員会(CCC)のジョン・ガマー委員長も「石炭使用の段階的な廃止は、世界的なネットゼロに向けた取り組みで必要なのは明らかだ」として、決定に異議を唱えた。

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