軸受大手の独シェフラーは米国に工場を建設する意向だ。同国で施行されたインフレ抑制法(IRA)はシェフラーの自動車、産業向け事業に大きなメリットをもたらすため。クラウス・ローゼンフェルト社長は日曜版『ヴェルト』紙のインタビューで、「わが社はいずれにせよ、米国投資を強化するためにそれ(IRA)を活用する」と明言した。
欧州の既存の生産拠点を米国に移管するわけではないことも強調した。ただ、「欧州はこの(工場の)再配置の負け組になる恐れがある」とも指摘。欧州に新たな工場を設置する魅力は相対的に低いとの認識を示唆した。「次の(複数の)工場は米国に建設するでしょう」と明言している。
温暖化防止に寄与する事業を展開する企業にとってIRAは大きな魅力となっており、自動車大手アウディのマルクス・デュスマン社長も日曜版『フランクフルター・アルゲマイネ』紙のインタビューで、IRAを活用して米国に電気自動車工場を建設する考えを表明した。
シェフラーのローゼンフェルト氏は、ロシア事業の売却契約をすでに締結したことも明らかにした。当局の承認が得られていないため、取引は完了してない。ウリヤノフス工場の従業員(150人)との間では「満足できる解決策」を取り決めたとしている。
中国が台湾に軍事侵攻した場合に関しては、明確な対策をまた策定していないとしながらも、「このリスクには集中的に取り組み始めた。そうでなければ無責任だ」と述べた。