「グリーン産業の競争力強化策を」、EU10カ国が欧州委に長期戦略の策定を要請

ベルギーなど欧州連合(EU)加盟10カ国はクリーンエネルギー分野で欧州が米国や中国に対抗するため、競争力強化と生産性向上のための長期的な戦略が不可欠とする書簡を欧州委員会に送った。ロイター通信が1日、入手した文書をもとに報じた。

ロイターによると、書簡はベルギー、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、アイルランド、ラトビア、リトアニア、オランダ、スロバキアの首脳が連名で送ったもの。10カ国の首脳は「目下のところ政治的な関心は、エネルギー価格の高騰やグリーンテック分野におけるより激しい国際競争に対処するための短期的な対策に集中している」と指摘。「EUにとっていま必要なのは、経済生産と生産性の面で世界の主要な競争相手に遅れをとらないための、競争力強化に向けた長期的な戦略だ」と強調し、今月23~24日のEU首脳会議でこの問題について議論するよう促した。

書簡ではまた、新型コロナウイルスによるパンデミックやロシアのウクライナ侵攻、米国のインフレ抑制法などを契機として、欧州の産業競争力がクローズアップされていると分析。「欧州は競争力強化と生産性向上のための長期的な戦略を必要としており、それは欧州委員会が打ち出したグリーンディール産業計画を補完するものだ」と強調した。

首脳らはさらに、再生可能エネルギーや水素、電気自動車などのグリーン産業と並び、EUの域内総生産の3分の2以上を占めるサービス部門が特に重要と指摘。規制環境などを見直して重点的にこうした分野の生産性を高め、成長を促す必要があるとの考えを示した。

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