独複合企業ティッセンクルップは1日、鉄鋼子会社ティッセンクルップ・スチールが水素製鉄プラントを独設備大手SMSグループに発注したと発表した。炭素中立実現に向けた同社初の水素製鉄プロジェクトに投入する。
デュースブルク工場に新プラントを設置する。成約額は個々の案件では同社史上最大の18億ユーロ強。SMSは設計、調達、建設を引き受ける。2026年末の完成を見込む。
SMSはMIDREX Flex直接還元鉄プラントと、溶融設備2基、付属する補助設備を設置する。MIDREX Flexは還元剤を0%から100%まで柔軟に水素に置き換えることができる技術で、神戸製鋼の米子会社ミドレックスがSMSのルクセンブルク子会社ポールワースに昨年10月、ライセンス供与した。
デュースブルク工場に設置するプラントは直接還元鉄(DRI)の生産能力が年250万トンで、同工場の二酸化炭素(CO2)排出量は年350万トン以上、削減される見通しだ。工場全体のCO2排出量(現在およそ2,000万トン)は約20%減少することになる。
同プラント建設プロジェクトは国と地元ノルトライン・ヴェストファーレン州の補助金を受ける予定で、現在、欧州連合(EU)の欧州委員会が公的助成審査を行っている。審査は今後数カ月で完了する見通しという。
SMSは昨年10月、ミッドレックスと共同でスウェーデンのスタートアップ企業H2グリーン・スチール(H2GS)から世界初の本格的な水素製鉄プラントを受注した。受注額は両社合わせて10億ユーロ超。25年の操業開始を予定している。