野村の独拠点に立ち入り捜査、リーマンの欧州事業買収で獲得の人材が不正か

野村ホールディングスの独子会社を対象に検察当局が立ち入り捜査を行ったことが4月26日、分かった。捜査は「カム・エクス(Cum-Ex)」というルールを悪用した違法な税還付に絡んだもの。捜査を主導するケルン検察当局は社名を伏せながらも、「アジアに本社を置く投資銀行に対し昨日からフランクフルト・アム・マインで捜査令状の執行を行っている」ことを独メディアに明らかにした。野村の広報担当者は事実を認め、「わが社は当局の捜査に全面的に協力していく」と述べた。

カム・エクスは、「権利確定日」の時点で保有していた株式には配当が付くが、同確定日以降の「権利落ち日」に取得した株式には配当が付かないというルール。権利確定日の直前直後に取引を行うと株式の本当の所有者が誰であるかが分かりにくいため、支払っていないキャピタルゲイン税の還付を受けることがかつては技術的に可能だった。これによりドイツの財政に総額120億ユーロの損出が発生したと推定されている。連邦財務省がこの盲点に気づき、2012年に法改正が行われたことから、現在はこの手口を使うことができない。ただ、新たな手法で不正な税還付を受ける行為は現在も行われているもようだ。

野村の独子会社では現在とかつての社員、合わせて37人が捜査対象となっている。今回の立ち入り捜査には警察・検察と税務当局の約80人が動員されたもようだ。

ケルン検察の情報として経済紙『ハンデルスブラット』が報じたところによると、野村は2008年に経営破たんした米リーマン・ブラザーズの欧州・中東部門買収に伴い、カム・イクス事業の専門家を数多く獲得したという。これらの人材が不正を働いた可能性がある。

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