自動車大手の仏PSプジョー・シトロエン(PSA)と米ゼネラル・モーターズ(GM)は2月29日、資本関係も含めた長期的な包括提携を発表した。部品の共有化や新モデルの開発・生産などで協力するほか、世界的な調達業務で協力するための合弁会社を設立する。また、PSAによる10億ユーロの増資に、GMがPSAに7%を出資する予定で、プジョー家に次ぐ第2位の株主となる。
\生産では、プラットフォーム、部品、モジュールを共有化する。特に小・中型の乗用車、コンパクト多目的車(MPV)、クロスオーバーモデルに重点を置く方針という。さらに低燃費車の新たなプラットフォームを共同で開発することも計画している。共通のプラットフォームを採用した最初のモデルを2016年までに市場投入できると見込んでいる。
\合弁会社による共同調達は年約1,250億ドルの規模になる予定。一方、マーケティングや販売は従来通り各社が独自に展開する。
\両社はその他の分野についても協力を検討していく。物流では、例えばPSAの子会社ジェフコ(Gefco)がGMに欧州とロシアでサービスを提供することが検討されているという。
\提携による相乗効果については、当初2年間は限定的なものにとどまるが、5年以内に年約20億ドルの規模になるとの見通しを示している。
\このほか、監督組織として両社から同数の代表が参加する国際運営委員会を設立することでも合意した。また、両社が合意した提携内容の実施には、当局の認可や労組の合意をとる必要がある。
\ \■ 欧州事業の競争力強化
\ \両社は包括提携により利益率を改善するとともに、欧州事業の競争力を強化する。2009年に経営危機に陥ったGMは事業再建により2011年は最終利益で76億ドルの黒字を確保するまでに回復したが、欧州事業では赤字を抱えている。PSAもグループ全体の営業利益で2011年は13億1,500万ユーロの黒字を計上したが、完成車事業では9,200万ユーロの営業損失となり、部品や物流、金融といった周辺部門の黒字が本業の赤字をカバーした。
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