独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は17日、監査役会の執行委員会がマルティン・ヴィンターコルン社長への支持を明言したと発表した。また、同委員会は2016年2月の監査役会でヴィンターコルン社長の契約延長を提案する意向という。
ヴィンターコルン社長については、VWのフェルディナンド・ピエヒ監査役会長が「距離を置いている」と語り、VWの将来を委ねるには不適切であるとの不満を表明した、との独『シュピーゲル』誌(4月11日発行号)の報道により、ピエヒ氏の後継者として有力視されていたヴィンターコルン社長の立場が危ういとの見方が広がっていた。ただ、メディア報道によると、ピエヒ氏は依然としてヴィンターコルン社長への不満を抱えているもよう。
20日付の独『ハンデルスブラット』紙によると、監査役会の主要メンバーは5月5日のVWの株主総会を前に、ピエヒ氏も含めて会議を開き、状況の改善に向けた協議の場を設ける意向という。株主総会ではピエヒ氏とヴィンターコルン社長が同じ檀上に立つため、その前に事態の鎮静化を図り、少数株主の批判や両氏の対立によるVWのイメージ悪化を回避したい考えという。
ピエヒ会長とヴィンターコルン社長は、自動車の前後の車軸に例えられる程、VWの近年の事業成長に貢献してきた人物として高く評価されていたため、『シュピーゲル』誌の両氏の対立についての報道は大きな波紋を広げている。
メディア報道によると、今回の発表を前に行われた監査役会執行委員会の会議では、ピエヒ氏が孤立し、退陣を迫られる場面もあったという。