独産業設備大手のデュルは4日、独ソフトウエア会社のiTACソフトウエア(以下、iTAC)を買収したと発表した。12月3日付けで同社の資本の100%を取得し完全子会社とした。産業のデジタル化を目指す「インダストリー4.0」の中核を成す製造実行システム(MES)を大幅に強化する。
MESでは、生産ラインや工場内の機械・設備を高度な技術で連携する。iTACのMESソフトウエアは生産のビッグデータ管理に適しており、工場内の各分野から大量のデータを収集し、評価することができる。材料やエネルギーの消費量、サイクルタイム、稼働率などをリアルタイムで把握することが可能で、これらのデータは生産工程の改善や効率向上などに役立てることができる。
iTACは独ボッシュの電気通信部門(当時)のスピンオフ企業として1998年に設立された。従業員数は現在、約90人。同社が開発したクラウドベースのMESソフトウエア「iTAC.MES.Suite」は世界の140以上の工場に採用されている。完成車メーカーや自動車部品メーカー、電気、通信、医療技術業界など幅広い分野に顧客を持つ。2015年は売上高で約1,500万ユーロを見込んでいる。
■ MESソフトウエアの開発およびインダストリー4.0分野を強化
デュルはiTACの買収により、既存のMESソフトウエア「EcoEMOS」の開発をさらに推し進める。「EcoEMOS」はポーランドのブジェシナにあるフォルクスワーゲン(VW)工場など、自動車工場に採用されている。また、iTACは「インダストリー4.0」に関連したデュルの取り組みもサポートする。
なお、iTACはこれと並行して、既存の事業も引き続き展開・拡大していく。