EUとシンガポール、FTA・投資保護協定に署名

欧州連合(EU)とシンガポールは19日、ブリュッセルで開かれたアジア欧州会議(ASEM)首脳会議で、自由貿易協定(FTA)および投資保護協定に署名した。両協定は欧州議会で採決が行われ、承認されると、FTAについては欧州委員会の任期が満了する2019年10月末までの発効が見込まれる。一方、投資保護協定に関しては、EU加盟国およびベルギーなど一部地域の議会による批准を経て発効する。

EUとシンガポールは関税の引き下げや非関税障壁の撤廃に加え、投資、知的財産権の保護、政府調達など幅広い分野をカバーする協定の締結に向けて2010年に交渉を開始。14年10月に協定の内容で最終合意した。しかし、EU司法裁判所は17年5月、投資家保護ルールなど一部の分野に関してはEUと加盟国が権限を共有しており、協定の完全な発効には全加盟国の議会の承認が必要との判断を示した。

加盟国ごとの批准に伴う手続きの長期化を避けるため、欧州委員会は今年4月、EUが排他的権限を有する貿易分野と、EUと加盟国が権限を共有する投資分野に分けて別個に協定を締結することを提案。加盟国は今月15日の会合で「混合協定」案を承認していた。

一方、ASEM首脳会議では欧州委、英国、フランス、ドイツ、イタリアの首脳が中国の李克強首相と個別に会談し、中国側に市場アクセスの改善や海外投資規制の緩和を要求した。李首相はこれに対し、アジアと欧州各国は規則に基づいた多国間の自由貿易システムを保護する必要があると指摘した。

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