独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は21日、ドレスデンにある「ガラスの工場」と呼ばれる近代的な工場に新しい生産部門向けのソフトウエア開発センター(SDC
Production)を開設した。約80人のIT専門家が産業用クラウド「フォルクスワーゲン・インドダストリアル・クラウド」を開発する。この産業用クラウドを介してVWグループが世界に展開する全122工場を連携し、生産および物流プロセスをデジタル化する計画。
産業用クラウドの導入により、部材の流れや出荷の滞りなどを早期に認識し、世界の拠点でリアルタイムに情報を共有することができる。例えば、輸送トラックが渋滞に巻き込まれている、あるいは、部品に欠陥が見つかった、などの情報を共有し、生産における組織運営を効率化する。
産業用クラウドの構築では、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)と協力する。AWSは、モノのインターネット(IoT)や機械学習、コンピューティングサービスの分野を得意とする。また、産業用クラウドの導入では、インテグレーションパートナーとして独機械大手のシーメンスと協力する。シーメンスは、自動化や機械・設備のネットワーク化、産業用IoTなどのノウハウを持つ。
VWでは中期的に産業用クラウドの分野に220人の専門家を採用する計画で、うち3分の1に相当する約80人がドレスデンに勤務する予定。VWでは、ドレスデンのほか、ミュンヘンやボルフスブルクの拠点でも開発業務をサポートする。また、ベルリンでは、共同の産業用クラウドイノベーションセンターを開設する計画がある。