独自動車大手のアウディは23日、カールスルーエ技術研究所(KIT)のシンクタンク「産業資源戦略」と自動車樹脂部品のケミカルリサイクルで協力すると発表した。廃プラスチックを熱分解油に加工して、新しい部品の製造に利用する可能性を探る。
ケミカルリサイクルは、廃棄物を化学的に処理し、他の化学物質に転換して再利用する取り組み。自動車には多くの樹脂部品が使用されているが、特に安全性や耐熱性、品質などで高い水準が求められる部品は、石油を原料としており、再利用できないものが多い。また、一種類の樹脂で製造された部品は機械的なリサイクル処理が可能だが、異なる種類の樹脂から成る混合プラスチックはリサイクルが難しい問題がある。
アウディはKITとのパイロットプロジェクトを通してまずは、ケミカルリサイクルの技術的な実現可能性を試験し、リサイクル工程の経済性や環境への影響などを評価する。
アウディは同プロジェクトに、例えばドイツのディーラー網から戻ってきた燃料タンク、ホイールトリム、ラジエーターグリルなどのアウディモデルの不要になった樹脂部品を提供する。これらの樹脂部品は、化学的な処理により熱分解油に加工され、新しい部品の加工に使用する。この油は、石油製品と同等の品質であり、中期的に、熱分解油を使用した自動車部品の搭載も可能になると見込んでいる。