蘭デジタル地図大手のヒア・テクノロジーズは9月30日、独ボッシュ、ロンドン交通局(TfL)と協力し、同市の大気汚染を改善するプロジェクトに取り組んでいると発表した。ヒアの位置情報データと大気質の測定データをもとに対象区域の汚染状況をマップ化し、当局による交通管理の最適化に役立てる。このほどロンドン南部のランベス区で実施した実証試験事業では、慢性的な交通渋滞が緩和され、大気中の窒素酸化物(NOx)を20%削減することに成功した。プロジェクトチームは今回確立した交通管理ソリューションを、今後ロンドンの他の地区や、他の都市にも提供することを計画している。
ランベス区の実証事業ではまず、同区のブリクストン通りの交通状況について、ヒアがコネクテッドカーや携帯端末から集めた匿名化されたデータを交通量や渋滞に関するビッグデータとして集約し、モデル化した。次に、対象地区の17カ所にセンサーを設置して二酸化窒素(NO2)やオゾン(O3)、微小粒子状物質(PM2.5)、粒子状物質(PM10)の大気中濃度を測定し、汚染物質の排出状況を計測した。これらをもとに、場所の特徴と天候が大気の質に与える影響を考慮に入れて汚染物資の拡散状態を計算し、ブリクストン通りの高精度の大気汚染ヒートマップを作成。1時間ごとに20メートルの精度で更新される同マップを活用することで、交通当局が渋滞や混雑を緩和できるようにした。
ヒアは、今回の取り組みにより、局地的な大気の質の改善、渋滞や混雑の緩和、市街地における風や天候が汚染物質の拡散に及ぼす影響などについての知見が得られるようになるとしている。