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2021/12/10

企業情報 - 自動車メーカー

独VW、車載電池の量産化に向け3社と戦略提携

この記事の要約

独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)・グループは8日、車載充電池の量産化に向けて3社と戦略提携したと発表した。ベルギーの非鉄金属大手ユミコアとはカソード材を生産する合弁会社を設立する。米新興企業の24Mテクノロジーズ […]

独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)・グループは8日、車載充電池の量産化に向けて3社と戦略提携したと発表した。ベルギーの非鉄金属大手ユミコアとはカソード材を生産する合弁会社を設立する。米新興企業の24Mテクノロジーズとは、セル工場の生産技術の開発で協力する。ドイツ・オーストラリア系新興企業のバルカン・エナジー・リソーシズとは、二酸化炭素(CO2)の排出量が正味ゼロのリチウムをドイツで調達する契約を締結した。

■ ユミコアとカソード材の合弁設立

ユミコアとは合弁会社を設立し、VWが欧州で操業する電池セル工場にカソード材を供給する。2025年に差し当たり、生産能力20ギガワット時の規模で生産を開始し、VWの独ザルツギッター工場に供給を開始する。その後、生産能力を段階的に引き上げていく。2020年代の終わりまでに生産能力で年最大160ギガワット時を目指す。これは電動車約220万台分の需要に相当する。

合弁会社はさらに、前駆体やカソード材の欧州における生産能力拡大、持続可能な原材料の調達も視野に入れており、長期的には、リサイクルなどにも事業を拡大する可能性も検討していく。

■ 24Mテクノロジーズと生産技術の開発で協力

24Mテクノロジーズとは、セル工場の生産技術の開発で協力する。同社は、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のスピンオフ企業で、マサチューセッツ州のケンブリッジに本社を置く。同社が開発する半固体(semi-solid)生産方式は、従来の生産方式に比べ、材料の使用量が少なく、生産工程も少ないため、生産コストを削減できると期待されている。VW子会社が24Mテクノロジーズの技術を基盤に自動車用の生産技術を開発する計画で、2020年代後半に同技術を量産工程に導入できると見込んでいる。

■ ドイツで水酸化リチウム調達へ

バルカン・エナジー・リソーシズは現在、ドイツのオーバーライングラーベンで温泉水と地熱を組み合わせてCO2の排出量が正味ゼロの水酸化リチウムを生産するプロジェクト「ゼロ・カーボン・リチウム」を実施している。VWは2026年から5年間、ドイツで生産した水酸化リチウムを調達する契約を同社と締結した。両社はその他の提携の可能性についても現在、協議している。

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