伊藤忠商事(東京都港区)は12月20日、英国の廃タイヤ回収・加工大手マーフィッツ・グループの全株式の取得ついて同月17日に基本合意したと発表した。株式取得は、伊藤忠商事の事業投資先である英タイヤ卸・小売事業会社EUROPEAN TYRE ENTERPRISE LIMITED(ETEL)を通して実施する。
ETELは、英国のタイヤ小売最大手クイック・フィット(Kwik Fit)とタイヤ卸最大手ステープルトンズ・タイヤ・サービスズ(Stapleton’s Tyre Services)を展開している。
マーフィッツは、英国で年2,000万本(乗用車用タイヤ換算)の廃タイヤを回収・加工しており、英国全域にタイヤの物流網を持つ。加工した廃タイヤは、リサイクル製品として販売するほか、競技場や歩道、遊技場の表面、カーペットの下敷きやアスファルト代替といった様々な産業用途に使用されており、世界にも輸出されている。
マーフィッツは、粒状にした廃タイヤを熱分解し、CO2を排出せずにカーボンブラック(CB)や再生燃料などを生産する技術の開発・商業化に取り組んでいる。廃タイヤの熱分解により得た再生CBは、タイヤ製造に再び使用することができる。
伊藤忠商事はこのような取り組みにより、タイヤのサプライチェーン全体の持続可能性を高めていく。同社はこのほか、ブロックチェーンを活用した天然ゴムのトレーサビリティ、サステナビリティの実現を目指す取組「PROJECT TREE」の商用展開を昨年12月に英国で開始している。