ベルギーの非鉄金属大手ユミコアは11日、仏オートモーティブ・セルズ・カンパニー(ACC)に対し、リチウムイオン電池(LIB)の最先端リサイクル技術を供与する契約を結んだと発表した。ACCが仏南西部ネルサックに持つパイロット工場に導入してLIBの材料リサイクルの効率を高め、電気自動車(EV)用バッテリーにおける循環型経済の実現に寄与する。
ユミコアがベルギー国内のホボーケンに持つ工場では、年間でEV3万5,000台分に相当する7,000トンの使用済みLIBを処理している。この実績をもとに同社が開発した新技術は、冶金プロセスの大幅な改善により、使用済電池からコバルト、ニッケル、銅を含む多種多様な金属の95%を回収できる。回収した金属類は新品同様に品質を高め、新たなLIB生産へと循環させる。リサイクル工程のほぼすべてが自動化されており、確実で効率的な材料再生を可能にしている。
ACCは欧州自動車大手のステランティスと仏エネルギー大手のトタルエナジーズによる合弁会社。ステランティスは2030年までに少なくとも計260ギガワット時の車載電池の生産能力を確保する計画を打ち出している。ネルサックのパイロットプラントはそれを踏まえ、将来の大量生産を前にすべての電池製品と製造工程を試験するために開設された。