フィンランド・スウェーデン資本の製紙大手であるストラ・エンソは、リチウムイオン電池のアノード材向けに、木材のリグニンを使用したハードカーボン「Lignode」を生産している。ハードカーボンは、電池で現在、一般的に使用されている化石燃料から生産する合成グラファイトの代替材料となる。ストラ・エンソはフィンランドのスニラ工場に「Lignode」のパイロットプラントを持つ。
リグニンは木材の20~30%を占めており、セルロース繊維の生産における副産物として得ることができる。ストラ・エンソはこのリグニンからハードカーボンを生産する。同社は2015年からリグニンを工業生産しており、生産能力は現在、年5万トンとなっている。
アノード材の生産は、電池の生産工程における二酸化炭素(CO2)排出量の約50%を占めているため、木材由来の代替アノード材の採用によりCO2排出量を大幅に削減することができる。
このほか、「Lignode」を使用したハードカーボンのアノード材は、充放電の速度が向上するため、充電時間を短縮することができる。さらに、低温でのパフォーマンスが向上するため、寒冷な環境におけるバッテリーの性能や安全性が向上する利点もある。