スウェーデンの新興電池企業ノースボルトは5日、11億ドルの転換社債を発行する契約に署名したと発表した。調達した資金は、急速に拡大する電池需要に対応するため、欧州における電池セルとカソード材の生産拡大に投入する。
今回の転換社債発行により、同社が2017年から株式や融資により調達してきた資金規模は約80億米ドルとなる。
ノースボルトは現在、550億ドルの受注を確保している。発注元は、独自動車大手のBMW、フルエンス(独電機大手シーメンスと米電力大手AESが設立した蓄電ソリューションの合弁会社)、スウェーデン商用車大手のスカニア、独自動車大手のフォルクスワーゲン・グループなどとなっている。
ノースボルトは、カソード材の生産とリサイクルを含むバッテリー・バリューチェーンの内製化に注力しており、リサイクル事業では、2030年までに原材料の50%をバッテリーのリサイクルにより確保する方針を示している。
ノースボルトは、2021年末にスウェーデンのシェルレフテオー工場で最初の電池セルを生産し、同工場から2022年春に最初の商用出荷を行った。
今後の生産拡大に向けては、シェルレフテオー工場の拡張に加え、スウェーデン自動車大手のボルボ・カーズと設立した合弁会社が同国のイエーテボリに電池工場を建設する計画や、ドイツ北部のシュレースヴィヒ・ホルシュタイン州のハイデに電池工場を建設する計画があり、電池のギガファクトリーは計3カ所となる予定。さらに、スウェーデンのボルレンゲにはカソード材工場を建設する計画がある。