仏CEA-Leti、自動車用LiDARのMEMSマイクロミラーを改良

フランス原子力庁・電子情報技術研究所(CEA-Leti、以下、Leti)は11月10日、自動車用LiDARに使用するMEMS(微小電子機械システム)マイクロミラーの改良に関する研究で新たに3件の特許を取得したと発表した。Letiの研究成果により、LiDARの範囲と安全性が向上し、エネルギー消費と製造コストを削減することができる。今回の研究は、短距離から長距離の3Dイメージング用の光学センサーおよびレーザー光源に関する欧州の開発プロジェクト「VIZTA」の一環として行われた。

自動車用LiDARに使用するMEMSミラー(幅2㎜)は、レーザービームを反射し、上下左右の動きによりビームの方向を変える重要な役割を担う。これにより、LiDARは、車両や歩行者、障害物などを検知することができる。

Leti が開発した技術は、100メートルの距離からタイヤ(高さ15㎝)を検出することを目的としており、長距離LiDARに必要な高出力レーザービームをサポートする。

Letiは、ミラーを動かすメカニズムを改善するため、従来の静電または電磁ソリューションをチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)圧電ソリューションに置き換えた。PZT圧電ソリューションに必要な電圧は20ボルトと、静電ソリューションに必要な150ボルトに比べ大幅に小さい。また、PZT圧電ソリューションでは、電磁ミラーに必要な磁石も不要になる。

Letiはこのほか、従来の金の反射板をシリコン上に堆積されたブラッグ層に置き換えた。これにより、レーザーによる反射板の過熱を抑えることができるため、入射波を増加させることができる。また、ブラッグ層をCMOS互換プロセスにより堆積することができるため、製造コストを削減することができる。

Letiはさらに、歩行者の目の安全を強化するため、ミラーが動いていないときはレーザーをオフにする自己判断機能を追加した。

Leti の研究成果が反映されたミラーは、産業パートナーの既存の3D LiDARシステムに組み込まれ、互換性や設定した目標が達成されたことを確認している。Letiは今後さらに、LiDARの検知精度を高めるためミラー制御技術に関する研究を継続していく方針を示している。

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