独自動車大手のダイムラーは9日、メルセデス・ベンツのトランスポーター「ヴィト」をベースにした電気自動車(EV)のプロトタイプを年内に約100台、公的機関などの一部顧客に供給し、実用走行試験を実施すると発表した。同モデルは7~9日にスペインのサンセバスチャンで開かれた欧州連合(EU)の非公式産業相理事会で公開された。今後数年以内にさらに2,000台を供給する計画。
\独業界紙『オートモビルボッヘ』によると、約100台の供給先はドイツポスト、ロイヤルメールなど。主に都市貨物輸送などに投入される予定。
\今回供給するプロトタイプはリチウムイオン電池(電圧:400ボルト、電流:16アンペア、電池容量:32kWh)を搭載する。1回のフル充電による航続距離は平均130km、走行状況によってはさらに伸びるという。電気モーターの最高出力は90kW。最高時速は80km/時に制限されている。
\積載量は通常のヴィトと同じ900kgを確保。走行安定化装置(ESP)、エアバッグなどの安全装備も標準モデルと同じ仕様となっている。
\ダイムラーは研究開発において、(1)内燃エンジンの改良(2)ハイブリッドエンジンによる燃費改善(3)電気自動車および水素燃料自動車によるゼロエミッション車の開発――の3方向を進めている。
\EV「ヴィト」は、スペインのビトリア工場で現行モデルと同じラインで生産する。EVモデルの生産に向けては、ビトリアを州都とするバスク自治州から従業員の訓練などで助成を受けている。また、EVモデルの研究開発ではドイツの連邦環境省(BMU)の支援を受けている。
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