独高級車メーカーのBMWは6日、炭素製品大手のSGLグループと設立した合弁会社が米ワシントン州のモーゼスレイクに炭素繊維の工場を建設すると発表した。第1段階として1億米ドルを投資。雇用規模で約80人を予定している。
\モーゼスレイク工場では炭素繊維の製造に必要な大量のエネルギーを水力発電でまかなうことができる。水力発電は環境にやさしい再生可能エネルギーであることに加え、ワシントン州ではエネルギーコストが安いことが決め手となった。SGLのケーラー社長は独経済紙『ハンデルスブラット』に対し、ドイツに工場を建設することも検討したが、エネルギーコストは3倍だった、と説明している。このほか、インフラが整備されている、税制が有利であることや人材確保が容易であることなども決定材料となった。
\BMWとSGLは昨年10月末、自動車向けの炭素繊維および炭素繊維を使用した中間製品(CFRP)を製造する合弁会社を設立すると発表した。合弁会社で生産した製品は、BMWが2015年までに市場投入する計画の「メガシティ・ビーイクル」と呼ばれる新シリーズに採用される。
\両社は北米工場で生産した炭素繊維をドイツのヴァッカースドルフ工場で加工する。同素材を使用した最終的な部品はBMWのライプチヒ工場で「メガシティ・ビーイクル」に組み込む。
\SGLはBMWのほかにもこれまでに、独自動車部品メーカーのベンテラーと炭素繊維複合材を使った軽量部品の開発や生産事業で合弁会社を持つほか、伊ブレーキメーカーのブレンボとカーボンセラミック製ブレーキディスクおよびブレーキシステムを開発・製造する合弁会社を設立している。
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