米アルミニウム大手のアルコアがルーマニア国内で自動車部品用ワイヤーハーネスを生産していた3工場を、同業3社がそれぞれ取得したことが明らかになった。現地経済紙『ジアルル・フィナンチアル(ZF)』が24日、伝えた。3工場のなかで最新のベイウシュ工場は独レオニが買収済みだが、残るナダブ工場は独クロムベルグ・シューベルトに、カランセベシュ工場は住友電装に売却されたとしている。3社は取引額を公表していない。
\3社はすでにルーマニアに生産拠点を持っており、旧アルコア工場の取得でルーマニア事業を強化する。クロムベルグはティミショアラ、メディアシュに工場、シビウに研究センターを展開し、2008年の国内売上高は4,700万ユーロ。09年は経済危機で売り上げが落ち込み、主力工場のティミショアラで従業員数を3,000人から1,600人へと大幅に削減したばかりだが、「ティミショアラは人件費が高い。ナダブ工場のコストは安く、供給契約を引き継げるのも魅力だった」とルーマニア法人のRosiu社長は『ZF』紙に語った。同社は受注契約だけでなく、工場の設備や従業員もほぼそのまま引き継ぐという。
\住友電装は、デバ、オラシュティエ、アルバ・ユリアの3工場を持つ。3工場の09年売上高は前年比2割減の1億500万ユーロに縮小した。それでも、今年は業績回復を見込んで4番目の工場をフネドアラ県ブラドに開設し、200人を新規雇用するとしていた。同社にはポーランド工場の業務をルーマニアに移管する計画もあり、工場取得で生産拡大に弾みをつける狙いがあるとみられる。
\アルコアは昨年、自動車部品製造部門を米投資ファンドのプラチナ・エクイティ(PE)に売却。PEはチェコ工場を閉鎖したものの、ルーマニアの3工場については売却する方向で候補企業と協議を進め、5月上旬にベイウシュ工場をレオニに譲渡した。
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