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2010/11/5

企業情報 - 自動車メーカー

仏ルノー、ダチアの販売を15年までに5割増へ

この記事の要約

仏自動車大手ルノーは、ルーマニア子会社ダチアの販売台数を、2015年までに50%拡大することを目指す。欧州では財政引き締めによる景気後退が懸念される中、低価格車の需要が伸びると見られており、廉価モデルを展開するダチアに有 […]

仏自動車大手ルノーは、ルーマニア子会社ダチアの販売台数を、2015年までに50%拡大することを目指す。欧州では財政引き締めによる景気後退が懸念される中、低価格車の需要が伸びると見られており、廉価モデルを展開するダチアに有利な状況だ。

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ルノーでエントリーモデル部門の責任者を務めるジェラール・デトゥルベ氏は、10月29日付の『フィナンシャル・タイムズ(FT)』に掲載されたインタビューで、「ダチア車の販売台数を15年までに現在の35万台から55万台に引き上げたい」と語り、ルノーとダチアの両ブランドを合わせた低価格モデルの販売台数も66万台から100万台に拡大させることを目指していることを明らかにした。

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1999年にルノー傘下に入ったダチアは、低価格を武器に販売を伸ばしてきた。今年1-9月期の販売は、欧州の新車市場が前年同期から4%縮小する中、11%増加した。4月に発売した小型スポーツタイプ多目的(SUV)「ダスター」は、販売価格が1万1,990ユーロからと、競合モデルより割安な設定で、8月末までの受注数は8万6,000台と当初見込みの2倍に達し、納車まで半年待ちの人気ぶりを見せている。ルノーは、ダチアが支持されている理由を、「経済危機を経験した消費者が、支出を減らす一方でより高い価値を求めた結果だ」と説明。今後は小型商用車やファミリーカーをラインナップに加えるほか、ダスターの派生モデルも計画している。

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自動車業界に詳しい専門家の間では、独フォルクスワーゲンがチェコ子会社のシュコダにシェアを奪われたように、ダチアブランドの拡大戦略が、親会社であるルノーの販売に悪影響を与える恐れがあると指摘する声もある。また、PAコンサルティングのエンゲルベルト・ヴィマー氏は、「ダチアをルノーのエントリーモデルとして前面に押し出すことで、ルノーのブランド価値が低下しかねない」と懸念を表明している。

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