欧州自動車最大手のフォルクスワーゲン(VW)の監査役会は19日、自動車部門に2011~15年の5年間で516億ユーロを投資する計画を承認した。内訳は、設備投資に413億ユーロ、開発投資に103億ユーロとなっている。また、設備投資のうち57%は本国ドイツに投じる。
\VWはグループの販売台数を2018年に1,000万台以上に引き上げ、トヨタ自動車を抜いて世界首位に躍進する目標を掲げる。2009年の販売は約630万台、今年は10月末までに前年同期比12.4%増の598万台を販売している。
\設備投資のうち277億ユーロは、ラインアップの拡充に充てる。新規モデルや後継車・派生モデルを開発するほか、新市場の開拓を進める。その際、プラットフォームの共通化などによりコスト効率を改善し、エンジンでは性能向上、燃費効率の改善、低エミッション化を進める。特にハイブリッドシステムや電気自動車の開発に重点を置く方針としている。
\残り136億ユーロは、プレス機械や塗装設備、組立ラインなど製造工程の近代化や、品質改善、情報技術(IT)などに投資する。
\今回の投資計画には中国事業は含まれていない。VWは現地企業との合弁会社を通して2011~15年の5年間に計106億ユーロを投資する計画だ。
\事業所委員会(従業員の代表機関)のベルント・オスターロー委員長によると、ドイツではヴォルフスブルクの本社工場で小型SUV車「ティグアン」の生産ラインに4億ユーロを投じる。これに伴い、カッセル工場ではティグアン向けの変速機の生産能力を現在の1日当たり750本から、来春には同1,000本に引き上げる。カッセルではこのほか、「DSG(ダイレクト・シフト・ギヤボックス)」と呼ばれるデュアルクラッチトランスミッションの生産を拡大する。DSGは従来の変速機に比べ燃費や走行性能を向上させることができる。
\ドイツではさらに、2012年半ばからハノーバー工場でピックアップ「アマロック」の生産を開始、欧州やロシア市場などで販売する。同モデルは現在、アルゼンチンのPacheo工場で生産している。
\