独自動車大手ダイムラーの軽商用車部門メルセデスベンツ・バンが9月22日にドイツのハノーバーで開幕した国際商用車見本市(IAA)(一般公開:9月22~29日)に出展したデリバリバンのスタディモデル。純粋な電気自動車で、完全自動式の荷室を装備し、ルーフ上にはドローン(小型無人機)2基を搭載している。「ビジョン・バン」はフューチャーイニシアチブ「アドバンス(adVANce)」の一環として開発した。
完全自動式の荷室は、次に配達する荷物をハッチまで移動させて、配達作業員が車両を停車後すぐに荷物を取り出せるようにする仕組み。また、停車した場所から配達先までドローンで荷物を配達することもできる。配達時間の短縮になるうえ、例えば、受取人が不在でも庭先などに荷物を置いておくことができる。
「ビジョン・バン」は出力75kWの電気モーターを搭載する。航続距離は投入目的によって異なるが、一回のフル充電で80km~最大270kmまで走行することができる。
■ 新組織「フューチャー・トランスポーテーション・システムズ」を設
ダイムラーはデジタル時代に対応した新しい輸送システムを構築するため、今後5年間に約5億ユーロを投資する。この取組の一つとして、新組織「フューチャー・トランスポーテーション・システムズ」を設置した。
この新組織(従業員数:約200人)はドイツのシュツットガルトとベルリン、米国のシリコンバレーに拠点を置き、経済界や物流業界、研究機関、公的機関、新興企業などと協力し、新しい技術やアイデアを取り入れながらネットワーク化された高度な輸送システムの構築を目指す。
■ フューチャーイニシアチブ「アドバンス(adVANce)」
フューチャーイニシアチブ「アドバンス(adVANce)」は、メルセデスベンツ・バンの成長戦略の一環であり、新しい事業モデルの構築に取り組んでいる。同イニシアチブでは、3つの重要分野として、あらゆるモノを通信でつなぐモノのインターネット(IoT)に重点を置いた「digital@vans」、「ビジョン・バン」の荷室の自動システムなどハードウエアベースのソリューションに取り組む「solutions@vans」、他の近距離交通機関と連携したり、輸送会社を対象にしたシェアリングサービスなどを開発する「mobility@vans」を設けている。