英与党の党首選、新旧外相の一騎打ちに

英国の次期首相を選ぶ与党・保守党の党首選は20日、党所属下院議員による5回目の投票が行われ、欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」も辞さない強硬離脱派のジョンソン前外相と穏健離脱派のハント外相が勝ち残った。これによって新旧外相2人による決選投票が実施され、7月下旬に新党首が決まる。

EUと合意した離脱案の承認をめぐって議会をまとめきれず、辞任に追い込まれたメイ首相の後任を選ぶ保守党の党首選には10人が立候補。13日に行われた第1回の投票を経て、候補が6人に絞り込まれていた。

18日に行われた2回目の投票では、強硬離脱派のラーブ前EU離脱担当相が脱落。19日の3回目投票で、合意なき離脱に唯一、明確に反対しているスチュワート国際開発相がふるい落とされた。

20日の4回目投票で、残っていた4人のうち、強硬離脱派のジャビド内相が脱落した。続いて行われた5回目の投票では、ジョンソン氏が全313票の過半数を超える160票を獲得してトップとなった。2位は大接戦となったが、ハント氏が77票と、同じく穏健離脱派のゴーブ環境相の75票をわずかに上回り、決選投票進出を決めた。

新党首は約16万人の保守党員を対象とした郵送による決選投票で決まる。投票結果は7月22日の週に発表される。

ジョンソン氏は2008年から16年にかけてロンドン市長を務めた経歴を持つ。16年に実施されたEU離脱の是非を問う国民投票では、離脱派の中心人物だった。過激な発言で物議を醸すことが多いが、その強烈な個性とリーダーシップが人気も集め、新党首・首相の最有力候補とされていた。計5回の議員投票では下馬評通りの強さをみせ、常に圧倒的な1位の座を確保した。

一方のハント氏は日本で英語教師を務め、日本語に堪能なことで知られる人物。EU離脱をめぐる国民投票では残留派だったが、現在は穏健な形での離脱に方向転換している。穏健離脱派の代表として、ジョンソン氏に挑むが、保守党員は強硬離脱派が多く、決戦投票ではジョンソン氏の優位が予想される。

EU離脱の方針に関しては、両氏は強硬離脱派、穏健離脱派に色分けされるが、実はそれほど大きな違いはない。ともにEUに離脱案見直しの再交渉を求め、それが実現しない場合は合意なき離脱もやむなしという立場だ。離脱の新期限となっている10月31日までにEUとの合意を達成できない場合、ジョンソン氏が同日に離脱すると主張しているのに対して、ハント氏は期限の短期間延長も辞さないという点で異なる。

いずれの候補が新首相に選ばれるとしても、EU側は離脱案に関する再交渉には応じない構えを堅持しており、難しい舵取りを迫られることになる。

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