2011/9/19

総合 –EUウオッチャー

EU次期中期予算の増額、独仏など8カ国が反対表明

この記事の要約

独仏などEU主要国を含む8カ国の欧州担当相は12日、ブリュッセルで開いた会合で、欧州委員会が打ち出したEUの次期中期予算(対象期間:2014~20年)の増額に反対する共同宣言を採択した。各国が財政再建のため進める緊縮策に […]

独仏などEU主要国を含む8カ国の欧州担当相は12日、ブリュッセルで開いた会合で、欧州委員会が打ち出したEUの次期中期予算(対象期間:2014~20年)の増額に反対する共同宣言を採択した。各国が財政再建のため進める緊縮策に逆行するものとして批判しており、欧州委は厳しい状況に立たされている。

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欧州委が6月末に発表した原案の予算総額は、現行中期予算(2007~13年)を5%上回る1兆250億ユーロ。欧州委は予算増加による加盟国の負担増大を避けるため、EU共通の金融取引税や税率1%の共通付加価値税など「EU税」を導入する方針だが、当初から批判が浴びせられていた。

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共同宣言をまとめたのは、ドイツ、フランス、英国、イタリア、オランダ、スウェーデン、フィンランド、オーストリア。8カ国は欧州委の提案した予算5%増額に「大きすぎる」と反発。「加盟国は財政再建に多大の努力を費やしている。EUの歳出も例外ではない」として、増額の見直しを求めている。

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欧州委は、EU首脳会議が開かれる10月をめどに「EU税」など次期中期予算の詳細を固める予定。加盟国は2年をかけて協議することになる。しかし、主要国を含む8カ国の反対により、調整の難航が必至となってきた。

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次期中期予算をめぐっては、金融取引税導入の是非についても加盟国間で大きな隔たりがある。ドイツ、フランスがEUの独自財源を強化する上で必要な措置で、2007~09年の金融危機で巨額の公的支援を受けた域内の銀行から“貸し”を取り立てるのは妥当として支持する一方、欧州の金融センターであるシティーを抱え、金融主権堅持を掲げる英国が強く反対している。同問題は16~17日に開かれたEU非公式財務相会合で協議されたが、独・仏と英の意見が真っ向から対立し、欧州委のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は「意見の一致を得ることはできなかった」と語った。

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金融取引税は通称「トービン税」と呼ばれるもので、欧州委はEU内で活動する金融機関を対象に、株式や債券、外国為替などの取引に課税する方向で調整を進めている。

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