2011/9/19

欧州ビジネスウオッチ

独照明大手オスラム、IPO延期

この記事の要約

独電機大手のシーメンスは14日、今秋に予定していた照明子会社オスラムの新規株式公開(IPO)を延期すると発表した。照明市場の低迷と株式市場の急速な悪化を受け、目標とする公開益を確保できないと判断したため。化学大手エボニク […]

独電機大手のシーメンスは14日、今秋に予定していた照明子会社オスラムの新規株式公開(IPO)を延期すると発表した。照明市場の低迷と株式市場の急速な悪化を受け、目標とする公開益を確保できないと判断したため。化学大手エボニクなど他企業のIPOも見送りの公算が高まっている。

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シーメンスは3月、組織再編の一環でオスラムの資本の50%超を市場で売り出す方針を打ち出した。省エネランプや発光ダイオードの開発に多額の投資を要するオスラムを抱えていると、シーメンスの使用資本利益率(ROCE、自己資本と有利子債務に対する利益の比率)で20%を確保するとした目標の達成が難しくなるためで、7月にはIPOに向けてオスラムの会社形態を有限会社(GmbH)から株式会社(AG)に変更した。

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IPO計画に陰りが出てきたのは7月末。シーメンスのヨーゼフ・ケーザー財務担当取締役は「照明需要がピークを過ぎた可能性がある」と指摘した。また、株式市場の急落もこの時期に始まっており、ドイツ株価指数(DAX)は7月末の7,000超から9月12日には一時、5,000を割り込んだ。

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IPOが先送りされたことで、オスラムは必要とする投資資金を確保できない可能性が出てきた。中核事業から外れたオスラムにシーメンスが巨額の資金を投じるかは定かでないためだ。オスラムは韓国のサムスンやLGと激しい競争を繰り広げており、投資資金の欠如は大きな痛手となる。

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