2011/11/28

環境・通信・その他

ISPのフィルタリング、義務化は「違法」=欧州裁

この記事の要約

EU司法裁判所は24日、著作権保護を受けているコンテンツの違法な流通を阻止するため、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)にフィルタリングを義務づけるべきだとする著作権管理団体の主張を退ける判決を言い渡した。\ […]

EU司法裁判所は24日、著作権保護を受けているコンテンツの違法な流通を阻止するため、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)にフィルタリングを義務づけるべきだとする著作権管理団体の主張を退ける判決を言い渡した。

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今回の事案はベルギーの著作権管理団体SABAMが2004年、同国の通信大手ベルガコム傘下のISPであるスカーレット(Scarlet)の加入者がファイル共有ネットワークを介して音楽ファイルを不法にダウンロードしているとして、スカーレットに対し違法コンテンツの遮断を求める訴えを起こしたのが発端。一審はSABAMの主張を認め、スカーレットにネットワークのトラフィックを監視して違法コンテンツの送受を阻止するフィルタリングシステムの導入を命じる判決を下したが、スカーレット側はこれを不服として上訴。ベルギーの上訴裁判所がEU司法裁に見解を求めていた。

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司法裁は判決で「EU法、とりわけ電子商取引指令の規定はファイルの違法ダウンロードを防止する目的で、当局がISPにフィルタリングシステムの導入を命じることを禁止している」と説明。こうした監視システムは個人情報保護、自由なコミュニケーションといった「ユーザーの基本的人権」を侵害するおそれがあるうえ、費用や技術面でISPに過度の負担を強いると指摘。スカーレットに対してすべての顧客によるネットワーク上のトラフィックを自己費用で監視することを命じた裁判所の決定は、知的所有権の保護と、事業を行う自由や個人情報保護のバランスを欠いたもので、「EU法に合致していない」と結論づけた。

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