欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/11/3

総合 – 欧州経済ニュース

ロシアとウクライナがガス供給再開で合意、来年3月までの期限付きで

この記事の要約

ロシアがウクライナへの天然ガス供給を停止している問題で、両国と仲介役のEUは10月30日、供給を再開することで合意した。ウクライナが滞納しているガス代金を支払い、今後の代金を前払いすることを条件に、ロシアは2015年3月 […]

ロシアがウクライナへの天然ガス供給を停止している問題で、両国と仲介役のEUは10月30日、供給を再開することで合意した。ウクライナが滞納しているガス代金を支払い、今後の代金を前払いすることを条件に、ロシアは2015年3月末までの期限付きで供給を再開する。

ロシアは天然ガスの輸出価格や代金の未払い問題を巡る対立から、6月にウクライナへの天然ガスの輸出を停止。ウクライナや同国を経由してロシア産ガスを輸入している欧州では、暖房需要が高まる冬季を前にガス不足に陥るとの懸念が高まり、EUが仲介役となって供給再開に向け協議を重ねていた。

今回の主な合意内容は、ウクライナがロシアにガス代金の未払い分のうち14億5,000万ドルを即時に支払い、年末までにさらに16億5,000万ドル支払うほか、新たに供給されるガスの代金を前払いする。ガスの価格は11~12月が1,000立方メートル当たり378ドル、来年1~3月が同365ドルで合意した。ロシアは供給停止前に485ドルを要求していたが、大幅に引き下げたことになる。また、ロシアが懸念を示していたウクライナの支払い能力については、EUが支援することで対応する。今回の合意によるガス供給は15年3月末までで、4月以降については改めて協議が必要となる。

欧州委員会のエッティンガー委員(エネルギー担当)は今回の合意について、「ウクライナが冬の最中に十分な暖房を確保することができるだけでなく、ロシアとウクライナの緊張緩和にも貢献するものだ」と評価した。