EU統計局ユーロスタットが10月31日発表した同月のインフレ率(速報値)は前年同月比0.4%となり、前月の0.3%から0.1ポイント拡大した。ただ、依然として欧州中央銀行(ECB)が上限目標とする2%を大きく下回る水準。価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いた基礎インフレ率は0.8%から0.7%に縮小しており、デフレ懸念は払しょくされていない。
インフレ率の上昇は、エネルギーのマイナス幅が前月の2.3%から1.8%に縮小したのが主因。工業製品はマイナス0.1%、サービスはプラス1.2%だった。
ECBは低インフレ、景気対策として6月から2度にわたって政策金利を引き上げたほか、長期資金供給を拡大しているが、期待したような効果は出ていない。10月はインフレ率低下に歯止めがかかったものの、ECBが重視する基礎インフレ率が縮小したことで、国債を買い入れる量的緩和に踏み切るよう求める圧力が強まりそうだ。