欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/11/10

総合 – 欧州経済ニュース

ユーロ圏成長率を大幅下方修正、14年は0.8%に=欧州委

この記事の要約

欧州委員会は4日発表した秋季経済予測で、ユーロ圏(来年にユーロを導入するリトアニアを含む19カ国)の2014年の域内総生産(GDP)予想伸び率を0.8%とし、春季予測(5月)の1.2%から0.4ポイント下方修正した。13 […]

欧州委員会は4日発表した秋季経済予測で、ユーロ圏(来年にユーロを導入するリトアニアを含む19カ国)の2014年の域内総生産(GDP)予想伸び率を0.8%とし、春季予測(5月)の1.2%から0.4ポイント下方修正した。13年4~6月期から続いていた景気回復が今年4~6月期にストップし、ゼロ成長に落ち込んだことなどを考慮したもので、15年の予想伸び率は0.6ポイント引き下げて1.1%とした。とくに主要国の独、仏、伊で大幅な下方修正となっている。(表参照)

欧州委は下方修正について、ウクライナ問題をめぐるEUとロシアの制裁合戦など「地政学的リスク」が主な要因だと指摘。ユーロ圏の14年の失業率は11.6%となり、前年の11.9%から縮小するものの、15年も11.3%と高水準を維持すると予想した。デフレ懸念が強まっている消費者物価に関しては、14年のインフレ率を0.5%とし、春季の0.8%から0.3ポイント下方修正した。

EU28カ国ベースのGDP予想伸び率は14年が1.3%、15年が1.5%で、それぞれ春季の1.6%、2%から引き下げた。主要国の14年の成長率をみると、英国が3.1%、スペインが1.2%と堅調で、それぞれ2.7%、1.1%から引き上げたが、その他は軒並み下方修正。フランスは0.7ポイントの下方修正となる0.3%とした。イタリアはプラス0.6%からマイナス0.4%に修正。ドイツは1.3%と、前年の0.1%から拡大するものの、1.8%から0.5ポイント引き下げた。さらにフランスについては、財政赤字が14年はGDP比4.4%、15年は4.5%、16年は4.7%と悪化し、EUの財政規律で上限となっている3%を超える状況が続くと予想している。

一方、債務危機に陥り、EUなどから金融支援を受けた国ではキプロスを除き、危機沈静化に伴って景気が上向いており、13年に3.3%のマイナス成長だったギリシャは0.6%のプラス成長に転じる見込み。アイルランドは4.6%の高成長を遂げると予想した。

1日に発足した新欧州委で雇用・成長・投資・競争政策担当の副委員長を務めるカタイネン委員は声明で、「経済、雇用状況の改善の足取りが重い」と懸念を表明。景気回復を支えるためには投資の拡大が不可欠として、欧州委がユンケル委員長の提案に基づき、3,000億ユーロ規模の投資計画を推進する方針であることを確認した。