ルーマニア中央銀行は6日、政策金利を3.75%から1ポイント引き上げて4.75%に設定した。利上げは7会合連続。上げ幅は2008年の金融危機以降で最大で、市場予想の0.5~0.75ポイントを上回った。景気の腰折れを懸念して小幅の利上げに留めてきたが、インフレ期待を抑えて物価の安定を確保するため大幅な追加利上げに踏み切った。貸出金利と預金金利は、それぞれ5.75%、3.75%となり、政策金利と同様1ポイント上昇した。
同国のインフレ率は5月に14.49%まで上昇した。インフレ率の上昇は3カ月連続で、ロシアのウクライナ軍事侵攻が始まった2月からの上げ幅の合計は5.96ポイントに達する。ウクライナ戦争と、それに伴う対ロ制裁が燃料価格を押し上げていることが大きい。
今後について中銀は、短期的な見通しは前回の予測と比較して「わずかに悪化」しており、インフレ率は7-9月期(第3四半期)の半ばまで上昇するものの、今年末には12.5%まで下がると予想する。
中銀は声明で、戦争の影響を受けた原油やエネルギー、農産物価格の大幅な上昇がインフレ圧力を高めていると指摘。戦争の長期化と対ロ制裁の拡大は中期的なインフレの進展に多大な不確実性とリスクをもたらすとしたうえで、中期的にインフレ期待を固定し、預金金利を引き上げて貯蓄を促すことでインフレ率を年2.5%の目標値に戻すため追加利上げを決めたと説明した。
中銀のムグル・イサレスク総裁は記者会見で、次回会合での追加利上げの可能性に触れる一方、インフレ減速の兆しが見えたなら利上げのペースを落とすと述べた。