輪作と休耕地管理ルールの適用を一時停止へ、食料安保の懸念に対応

欧州委員会は22日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に伴う食料安全保障の懸念に対応するため、EU共通農業政策(CAP)に基づく輪作義務や休耕地の管理に関するルールの一時適用停止を提案した。ウクライナからの穀物供給が滞る中、EU域内で小麦などの生産量を増やして食料の安定供給を図るための措置。加盟国の承認を経て実施に移す。

欧州委は声明で「世界の食料システムは、とりわけウクライナ戦争に起因するリスクと不確実性に直面しており、近い将来、世界的に食料安全保障が脅かされる恐れがある」と指摘。生物多様性を保護するため、各国で一定程度の農地を休耕地とすることを定めたルールと、土壌構造の保護を目的とする輪作義務の適用を一時停止することで、EU内では新たに150万ヘクタールの農地で穀物が栽培されるようになり、「世界の食料安全保障の強靭化に貢献する」と強調している。

欧州委の提案によると、食料の安定供給と農業分野における持続可能性の確保を両立するため、休耕地の緊急使用と輪作義務の免除は2023年までの一時的な措置となる。また、同スキームで栽培できるのは、ウクライナ侵攻に伴う食料危機の懸念に対処するために必要な作物に限定され、このため飼料用のトウモロコシや大豆は対象から除外される。

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