ドラギ首相辞任で伊議会解散、9月25日に総選挙へ

イタリアのマッタレッラ大統領は21日、ドラギ首相の辞表提出を受け、上下両院の解散を表明した。2023年春に予定されていた総選挙は9月25日に前倒しで実施される。

マッタレッラ氏は声明で、議会解散は「最後の選択肢だった」と強調。政府に対する議会の支持がなく、新たな連立政権が樹立される見通しもたたなかったため、解散に踏み切ったと説明した。

議会上院は20日、ドラギ氏が率いる内閣の信任投票を実施。賛成多数で可決したものの、連立与党の左派「五つ星運動」と極右「同盟」、中道右派「フォルツア・イタリア」が投票をボイコットし、事実上の不信任を突きつけた。これを受けてドラギ氏は21日、下院で改めて辞任の意向を表明し、その後、マッタレッラ氏に辞表を提出した。

ドラギ氏は21日の閣議で閣僚に感謝を表明し、新政権が発足するまで暫定政権を率いる方針を示した。同氏は引き続きエネルギー価格の高騰や新型コロナウイルスの感染再拡大、ロシアのウクライナ侵攻をめぐる問題などに取り組む姿勢を強調した。

ドラギ氏は欧州中央銀行(ECB)の前総裁。新型コロナウイルス感染拡大への対応が急務となる中、2021年2月に首相に就任した。国際的な知名度と信頼が高く、イタリアに一定の安定をもたらしが、物価高騰を受けた家計の負担軽減策を盛り込んだ重要法案をめぐり、コンテ前首相率いる五つ星が投票を棄権して与党内の対立が表面化。その後の調整でも左右両派の主要政党が入り交じる大連立の亀裂は修復できず、ドラギ政権は1年5カ月で崩壊した。

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