伊政府が170億ユーロの追加経済対策、一層のエネルギー高騰に対応

イタリア政府は4日、エネルギー価格高騰で打撃を受けている家計と企業を支援するため、約170億ユーロ(約2兆3,430億円)に上る追加の経済対策を閣議決定した。電力・ガス料金やガソリン価格高騰の影響を緩和するため、今年1月以降に導入した総額350億ユーロの支援策を拡充する。9月25日の総選挙を以て退任するドラギ首相にとって、最後の主要施策の1つとなる。

ドラギ氏は閣議後の記者会見で「一連の対策は、国際情勢が悪化する中でイタリア経済の回復を促すことを目的としている。必要があれば、さらに追加措置を講じる用意がある」と述べた。

伊政府は5月に打ち出した経済対策の一環として、これまでに年収3万5,000ユーロ未満の中低所得者に一律200ユーロを支給した。新たな経済対策では支給対象を拡大し、より幅広い労働者が支援を受けられるようにする。

また、低所得層を対象とする電気・ガス料金の値下げや、原発の廃炉コストや太陽光発電の補助金といった「システムコスト」の軽減を目的とする既存の措置を、第4四半期まで延長する。8月21日までとされていたガソリン税の減税措置も9月20日まで延長する。

このほか、いわゆる税のくさび(雇用者と雇用主双方が支払う賃金税の合計から家族手当を差し引いた金額が雇用主の労働コストに占める割合)を低下させ、雇用者が支払う給与と労働者の手取りの差額を減らすために12億ユーロが使われ、年収3万5,000ユーロ未満の労働者がこの恩恵を受ける。

さらに高齢者向けの支援策として、15億ユーロが年金の増額に充てられる。

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