EU統計局ユーロスタットが8月31日に発表したユーロ圏の同月のインフレ率(速報値)は前年同月比9.1%だった。ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー、食品などが値上がりする状況に歯止めがかからず、前月の8.9%から大きく拡大。統計を開始した1997年以降の最高記録を4カ月連続で更新した。(表参照)
分野別ではエネルギーが38.3%。前月の39.6%を下回ったものの、依然として高水準を維持している。食品は10.9%、工業製品は5.0%、サービスは3.8%。欧州中央銀行(ECB)が金融政策で重視する基礎インフレ率(価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いたインフレ率)は4.3%で、前月から0.3ポイント拡大した。
ユーロ圏19カ国では、エストニアが25.2%で最高。同国を含む9カ国で2ケタに達した。主要国はドイツが8.8%、フランスが6.5%、イタリアが9.0%、スペインが10.3%だった。
インフレ率はECBが目標値とする2.0%を大きく上回る水準。今後も燃料高などで上昇が続く見通しだ。ECBはインフレ抑制のため、7月に11年ぶりの利上げを実施し、政策金利を0.5ポイント引き上げた。物価急上昇に何とか歯止めをかけるため、9月8日に開く定例政策理事会で追加利上げを実施するのは確実な情勢だ。利上げ幅は当初、0.5ポイントとみられていたが、0.75ポイントに拡大するとの見方も広がっている。