ハンガリー中央銀行は8月30日、政策金利を1ポイント引き上げ、11.75%にすると発表した。これは欧州連合(EU)加盟国の中では最も高い水準。利上げは16会合連続で、昨年6月からの上げ幅の合計は11.15ポイントに上る。ウクライナ戦争や干ばつの影響でインフレが高進する中、物価の安定を図るため積極的な引き締め策を維持する。 政策金利の下限となる翌日物貸出金利は10.25%から11.25%に、上限となる翌日物、7日物有担保付貸出金利は13.25%から14.25%に、それぞれ1ポイント引き上げた。
同国の7月のインフレ率は前月から2ポイント増の13.7%となり、16カ月連続で中銀の上限目標値(4.0%)を上回った。持続的な商品価格とエネルギー価格の高騰に加え、欧州における歴史的な干ばつが物価を強く押し上げている。中銀は今後について、秋までは上昇するが、世界的な景気後退への懸念の高まりと、それに伴う商品価格の下落により、年末から緩やかに下がり始めるとみる。
中銀はまた、新型コロナ流行を受けて高めた流動性の余剰分を引き締めるため、預金準備率の引き上げ、割引手形オークションの定期的な開催、長期の預金手段の導入という3つの施策の実施を決定した。
中銀は声明で、インフレ目標を達成するためには、商品価格の高騰を受けた賃金上昇によりインフレが進む「二次的効果」の影響を防ぎインフレ期待を抑えることが重要だと指摘。インフレリスクが安全圏に後退するまで利上げを継続するとしている。